ビットコインやイーサリアムなど、仮想通貨(暗号資産)の活用が進んでいます。まだ信頼性の確保の点で言えば発展途上ではありますが、今後どのように使い道が広がり、どのような形で企業が受け入れを開始するのか、最新状況を見ていきます。
暗号資産の市場規模
暗号資産として代表的なビットコインやイーサリアムの取引は拡大しており、暗号資産市場全体の時価総額は約1兆円(2014年1月時点)だったものの、2021年12月上旬にはその規模が250兆円となり、その市場は大きく成長しています。この市場の成長に伴い、暗号資産取引に必要な「暗号資産取引所」は、世界中に数百以上誕生し、取引人数や規模を牽引しています。日本国内においても、主要な暗号資産の取引所でのビットコイン(BTC)取引高合計が約1兆2731億円(2019年5月時点)になるなど、上下は繰り返しているものの、確実に拡大しています。老後2000万円問題や、コロナをきっかけとした投資ブームも、暗号資産の知識を深め、少額から運用を開始する若手投資家を増やしたと考えられています。
暗号資産の使い道
徐々に金融やテクノロジーリテラシーの高い人だけではなく、多くの一般の人々にとっても身近になってきた暗号資産。その使い道としては、どのようなものが主流なのでしょうか?
まず、初期に登場したのが「ICO」です。ICOは「Initial Coin Offering(イニシャル・コイン・オファリング)」の頭文字をとった言葉で、株式と交換で現金投資をしてもらうのに対し、暗号通貨を使った新たな資金調達の仕組みです。資金調達側にとっても投資家にとっても、資産を数倍に増やせる可能性があるなど、メリットは大きい一方で、暗号通貨自体の価値が激しく上限することからハイリスク・ハイリターンの資金調達方法となっています。
次に主流なのが、「投資対象」としての暗号資産です。主に海外では長期で資産を株式や金等で運用し、老後資金を確保する方法がメジャーですが、個人で言えば全体投資資産の1〜3%程度を暗号資産に振り分ける人も増えてきています。また、海外の著名投資家も徐々にまとまった資産を暗号資産に傾けることも増えており、各国で投資周りの法整備が急がれています。また、国家規模で言うと、エルサルバドルや中央アフリカが法定通貨としてビットコインを指定したというニュースは業界を驚かせました。
次々とビットコインを受け入れ始める企業たち
そして、今後最もメジャーになっていくであろう暗号資産の使い道が、その名の通り「通貨」の代わりとしての使い道です。そもそも第三者が介在せず、セキュリティとしても堅固な状態を維持しながら世界初の共通通貨つとなることを目的に作られたものなので、もっとも趣旨に則した使い道だと言えます。2021年3月にはテスラ車CEOのイーロン・マスク氏が、テスラをビットコインで購入できるようにすると発表し、株価に大きな影響を与えました。その後、ビットコインのマイニング(採掘)にかかる環境負荷が理由で中止していますが、この点が解決されていけば活用する企業はますます増えていくでしょう。
実際、ベネズエラのバーガーキング、ケンタッキーフライドチキンやピザ・ハット、タコベルを展開するヤム・ブランズなどのファストフードや、決済システムのPayPal、コカ・コーラ・アマティルなどがビットコインに対応しニュースになりました。さらに日本でもビックカメラがビットコイン決済に対応しています。また、人気が急上昇し、市場が大きく成長している新規オンカジサイトでも、暗号資産決済を取り入れているサービス事業者は多く、Monkaji、ベラジョンカジノ、ビットカジノ、インターカジノ、などでビットコインだけでなく、イーサリアム、リップル、ライトコインなど複数に対応しています。
日常使いが増えることで、信頼獲得へ
まだ話題作りや、サブ通貨としての決済方法への採用が多い暗号資産ですが、徐々に利用シーンが増えることでその利便性や安全性が浸透し、さらにさまざまな形へ利用価値が高まっていくこと予想されるため、将来が非常に楽しみな領域です。