あの興奮を、再び。W杯を盛り上げた 桜の戦士がトップリーグで激突



17シーズン目となる日本最高峰のラグビー「トップリーグ」が1月12日、いよいよ開幕する。  ラグビーワールドカップ(W杯)が昨秋に開催されたため、今シーズンは1月から5月9日までの変則的な日程で16チーム総当たり戦を行ない、最も勝ち点を積み重ねたチームがトップリーグ王者となる。なお、今シーズンは優勝決定プレーオフがなく、下部リーグとの自動降昇格や入れ替え戦もない。 17シーズン目のトップリーグが開幕する  日本代表を初のW杯ベスト8に導き、新たな歴史を築いた31名中29名がトップリーグのチームに所属している。また、優勝した「スプリングボクス」南アフリカ代表、「オールブラックス」ニュージーランド代表、「ワラビーズ」オーストラリア代表などの選手も新たに来日し、各チームとも戦力アップに余念がない。  今シーズンの各戦力を見てみると、上位争いを繰り広げそうなのは6~7チームあたりと予想されている。そのなかでも、充実した戦力を誇っている優勝候補は3チームだ。  まずは、昨年度に2度目の優勝を果たした神戸製鋼コベルコスティーラーズ。W杯前に行なわれたトップリーグカップも制し、堂々たる強さを保持している。  日本代表選手はFB(フルバック)山中亮平とPR(プロップ)中島イシレリが所属しており、さらにコカ・コーラからCTB(センター)ラファエレ ティモシーが移籍してきた。3月に加入した東海大出身の大型ルーキーWTB(ウィング)アタアタ・モエアキオラは、新人賞候補の最右翼である。  また、昨季リーグMVPのSO(スタンドオフ)ダン・カーターに加え、今季はオールブラックスでチームメイトだったLO(ロック)ブロディ・レタリックも加入してきた。カーターは世界最優秀選手を3度受賞しているが、レタリックも2014年度に最年少で受賞している身長204cmの大型LO。今季の神戸製鋼は優勝にもっとも近いチームのひとつと言えよう。  その神戸製鋼に負けない戦力を誇るのが、日本代表最多6人が所属するパナソニックワイルドナイツだ。2015年度以来、5度目の優勝を目指す。ドレッドヘアがすっかりお馴染みとなったベテランHO(フッカー)堀江翔太、流行語大賞にもノミネートされた「笑わない男」PR稲垣啓太、東京五輪にも挑戦するスピードスターWTB福岡堅樹、新チームのキャプテンに任命されたHO坂手淳史、2023年W杯の10番を目指すSO松田力也、突破力に長けたPRヴァル アサエリ愛が所属する。  今オフ、パナソニックは大型補強を敢行した。南アフリカ代表のW杯優勝に大きく貢献したCTBダミアン・デアリエンディ、オールブラックスやクルセイダーズで優勝経験豊富な身長203cmのLOサム・ホワイトロックが新たに加入し、そしてジャッカルの名手として名高いオーストラリア代表FL(フランカー)デービッド・ポーコックもチームに復帰した。  その選手層の厚さは、スーパーラグビーのチームにも引けを取らない。昨シーズンは6位と低迷したが、名将ロビー・ディーンズ監督のもと、伝統の堅守速攻で優勝争いに絡んでくるだろう。  一方、昨シーズン準優勝のサントリーサンゴリアスも、もちろん優勝候補のひとつだ。リーグ3連覇を阻止されたリベンジに燃えている。  W杯で5トライを挙げた「フェラーリ」WTB松島幸太朗、若きリーダーSH流大(ながれ・ゆたか)を筆頭に、CTB中村亮土、FLツイ ヘンドリック、HO北出卓也と5人の日本代表選手が所属する。  かつてサントリーを率いた元日本代表指揮官エディー・ジョーンズ(現イングランド代表指揮官)が、総監督的な立場である「ディレクター・オブ・ラグビー」という立場でチームに復帰。古巣をどのようにサポートしていくのか、早くもジョーンズの言動に注目が集まっている。  今季はチームを引っ張る流を支えるべく、在籍3年目のSOマット・ギタウとNo.8(ナンバーエイト)ショーン・マクマーンが共同キャプテンを務めることになった。経験豊富なトップ選手のサポートで、サントリーはさらに強くなるだろう。さらに、W杯でも活躍したオーストラリア代表のCTBサム・ケレヴィも加入した。信条とする「アタッキングラグビー」で上位に絡んでくるのは間違いない。 以上が優勝候補とされる3チームだ。だが、これから紹介する4チームの実力も決して侮れない。  トヨタ自動車ヴェルブリッツは2年連続でリーグ戦4位に食い込んでおり、今シーズンは悲願の初優勝を目標に掲げている。日本代表の若きリーダーNo.8姫野和樹がキャプテンを務め、PR木津悠輔やSH茂野海人も所属している。  さらに今季は、オールブラックスのキャプテンだったNo.8キアラン・リードと、南アフリカ代表のスターFBウィリー・ルルーが新たに加入。そして、総監督的な立場である「ディレクター・オブ・ラグビー」には、オールブラックスを率いて2015年のワールドカップで優勝したスティーブ・ハンセンが就任した。  フィジカルラグビーが信条のトヨタ自動車に、パススキルを駆使するニュージーランドスタイルが融合される。チーム力は間違いなくアップしているだろう。  また、4年連続して3位以上をキープしているヤマハ発動機ジュビロも注目したい。コーチングスタッフをほぼ日本人で構成し、セットプレーラグビーを中心に独自の強化を図っているチームだ。  昨シーズンまでは清宮克幸監督が指揮を執っていたが、今シーズンは日本代表のコーチとして携わっていた堀川隆延が監督に復帰。さらには日本代表のスクラムコーチだった長谷川慎も加わった。  W杯の日本代表メンバーは、突破力が武器のLO/FLヘル ウヴェが所属。そのほかには、29歳のPR山本幸輝、ベテランFB五郎丸歩、南アフリカ代表のFLクワッガ・スミスがいる。強固なスクラムとモールを中心に、初の栄冠を掴むことができるか。  昨シーズン5位だったNTTコミュニケーションズシャイニングアークスも、ダークホース的な存在として面白いチームだ。注目すべきは、日本代表のNo.8アマナキ・レレィ・マフィだけではない。  南アフリカ代表のW杯優勝に貢献した世界屈指のHOマルコム・マークスと、白血病を克服したオーストラリア代表のSOクリスチャン・リアリーファノのプレーは必見。また、パナソニックからWTB山田章仁も移籍してきた。まずは初のトップ4を目指したい。昨シーズン6位のクボタスピアーズも、近年実力を伸ばしているチームだ。日本代表として存在感を示すFLピーター・ラブスカフニの存在も大きい。  さらに今シーズンは、さらなる武器を手に入れた。W杯決勝で最優秀選手に輝いた南アフリカ代表のNo.8ドウェイン・フェルミューレンだけでなく、オールブラックスのCTBライアン・クロッティとオーストラリア代表のSOバーナード・フォーリーという新たなW杯組も加わった。また、元日本代表のキャプテンCTB立川理道もチームを支えている。  そのほかにも、トップリーグでは多くの「桜の戦士たち」がプレーする。東芝ブレイブルーパスにはFLリーチ マイケルとFL徳永祥尭、キヤノンイーグルスにはSO田村優とSH田中史朗、Honda HEATにはPR具智元(グ・ジウォン)とWTBレメキ ロマノ ラヴァ、宗像サニックスブルースにはLOジェームス・ムーア、NTTドコモレッドハリケーンズにはLOヴィンピー・ファンデルヴァルト……等々。  今シーズンのトップリーグは日本全国30会場・計120試合が組まれており、日本代表や世界のスター選手たちが毎週ぶつかり合う。ぜひスタジアムに足を運んで、ワールドカップの興奮を、ラグビーの熱を再び味わってほしい。

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