<新国立競技場>首相「白紙」…工費圧縮、秋に代替案
毎日新聞 7月17日(金)20時49分配信
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<新国立競技場>首相「白紙」…工費圧縮、秋に代替案
新国立競技場建設見直しについて森喜朗・東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長らとの会談を終え、記者団に歩み寄る安倍晋三首相(中央)=首相官邸で2015年7月17日午後3時38分、藤井太郎撮影
安倍晋三首相は17日、2020年東京五輪・パラリンピックの主会場となる新国立競技場について「現在の建設計画を白紙に戻し、ゼロベースで計画を見直す」と表明した。文部科学省は同日、建設主体の日本スポーツ振興センター(JSC)に全ての契約をやめるよう指示した。総工費が2520億円に膨らみ、批判が強まっていたため。計画見直しに伴い、19年9月開幕のラグビー・ワールドカップ(W杯)での使用は断念し、今秋までに新しい整備計画を策定し20年春までに完成させる目標だ。
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◇ラグビーW杯会場断念
首相は首相官邸で記者団に対し、計画見直しで「国民みんなで祝福できる、世界の人々から称賛される大会にしていく」と強調。見直しの理由を「コストが当初の予定よりも大幅に膨らみ、国民やアスリートからも批判があった。このままでは祝福される大会にするのは困難だ」と語った。1カ月前から見直しを検討していたと明らかにし、「五輪開催までに間違いなく完成することができると確信し決断した」と述べた。
菅義偉官房長官は17日の記者会見で、新しい整備計画について、時間的に困難として国際公募をデザインだけにせず、「設計と施工を一体として行う」と説明。「効率的で極力国民負担の少ないものになっていくだろう」と述べた。「秋口に」(菅氏)新しい計画を策定する方針。ただ、完成予定は大会が開幕する20年7月の数カ月前。「台風などのトラブルがあったら終わりというぎりぎりの日程だ」(文科省幹部)との指摘もある。
首相は表明に先立ち、五輪組織委員会会長の森喜朗元首相と官邸で会談。森氏によると、首相は「ラグビーはどうしても間に合わない。あきらめてほしい」と要請。森氏は「やむを得ませんね」と応じた。その後、下村博文文科相、遠藤利明五輪担当相、菅氏が加わって協議し、首相は記者団に「直ちに新しい計画に取りかかるよう(下村、遠藤両氏に)指示した」と述べた。
森氏はその後、BSフジの番組に出演し、「(現行計画の)競技場が国際オリンピック委員会(IOC)委員の心を打った。それが勝てた要因。(白紙撤回は)残念だ」と話した。森氏は今月末にクアラルンプールで始まるIOC理事会・総会で見直しの状況を報告する。
現在の計画は、イラク出身の女性建築家のザハ・ハディド氏のデザインが基になっている。2本の弓状の巨大な構造物「キールアーチ」が総工費の高騰を招く主要因となり、当初の1300億円から2倍近くまで膨張した。【野原大輔】
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最終更新:7月18日(土)0時17分
引用:yahooニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150717-00000096-mai-soci